中国ドラマ「大宋宮詞(だいそうきゅうし) ~愛と策謀の宮廷絵巻~」の紹介記事です。
主人公は宋の時代に実在した章献明粛皇后 劉娥(りゅう・が)。
庶民として生まれ育った劉娥は皇子の趙元侃と出会い。趙元侃が真宗皇帝になると後宮入して側室から皇后になり。真宗皇帝の死後は幼い仁宗皇帝の代わりに摂政皇太后になって国の政治を行いました。
章献明粛皇后は唐の武則天、漢の呂皇后と比較される中国三大女主。悪女として語られがちな彼女を新たな視点で描いた時代劇です。
大宋宮詞 情報
西暦976年。北宋では第2代皇帝 太宗(たいそう)趙光義(ちょう・こうぎ)が即位しました。太宗は燕雲十六州の奪回を目指して何度も遠征するも失敗。さらに戦場で怪我をしていました。
自分の命が残り少ないと感じた太宗は皇太子を決めることにしました。でも皇太后の決めた遺言どおりに皇太子を決めれば弟の趙廷美(ちょう・ていび)になってしまいます。まずは弟があとを継ぐ事になっていたのです(趙光義は、兄に息子がいたのにそのおかげで相続できた)。
でも太宗は自分の子供にあとを継がせたいと思っていました。
原題:大宋宮詞
英語:Palace of Devotion
2021、中国
全61話
キャスト
歴史上の人物の解説は姉妹サイト
「アジアンドラマの史実」にジャンプします。
劉娥(りゅう・が)/章献明粛皇后
演:劉濤(リウ・タオ)
趙恒(ちょう・こう)/真宗
演:周渝民(ヴィック・チョウ)
郭清漪(かく・せいい)
演:斉溪(チー・シー)
李婉児(り・えんじ)
演:劉聰(リウ・ツォン)
寇準(こう・じゅん)
演:梁冠華(リャン・グァンホア)
蘇義簡(そ・ぎかん)
演:曹磊(ツァオ・レイ)
第1話
北宋皇帝 太宗は「3人の息子のなかで余の孫をもうけた者を跡継ぎにする」と宣言しました。でもそれは、懐妊中の妻がいる第3皇子 襄王・元侃(げんかん)が後継者だというのと同じこと。
皇太后の遺言通りなら次の皇帝になれるはずの秦王・趙廷美(ちょう・ていび)はもちろん。元侃の兄で第1子と第2皇子も不満です。元侃は兄たちをさしおいて自分が跡継ぎになるわけにはいかないと撤回を求めますが。太宗は聞きません。
あるとき、隣国の遼が攻めてきました。趙元侃は志願して遼との戦いに向かいました。
その後、大地震が起きました。
趙元侃の妻・郭清漪(かく・せいい)は地震の中出産。無事男の子の麒児が生まれました。
地震で皇宮が倒壊。太宗 趙光義は秦王 趙廷美と共に倒壊した建物の下敷きになりました。死を覚悟した太宗は秦王に兄・太祖を殺害して、皇太后の遺言を偽り自分が即位したことを話しました。そして太祖の息子・趙徳昭を皇太子にすると言います。その後、太宗たちは救出されました。
趙元侃は一度は戦死の報告が届きましたが。無事、戦場から戻ってきました。
ところが趙元侃は若い女性を連れて戻っていました。その娘は劉娥(りゅう・が)。劉娥は趙元侃の命を救った恩人だというのです。劉娥を側室にするつもりかと心配になる郭清漪でしたが。劉娥が出産経験があると知り一安心。
ところが郭清漪の息子・麒児が何者かに殺害されてしまいます。
感想と解説
ヒロインの晩年まで描く中国ドラマでは同じ女優さんが若い頃も演じることが多いですね。
劉娥は史実でも劉娥は夫に売られて趙元侃の妾になり。その元夫が後に劉娥の家来になるというドラマ以上に波乱な人生。
ドラマではその経緯をバッサリ切り捨てて、趙元侃の遠征先で知り合ったことになってるんですね。
皇帝が生き埋めになるほどの大地震なのに、郭清漪は無事出産してました。同じ街ですよね。時空が歪んでるのでしょうか?太宗のいるところだけ地盤が豆腐みたいに弱い?
それにしても趙元侃は既婚者なのに遠征先から女性を連れ帰るとは・・・しかも地震の中で子供を生んだ妻を全く気遣う様子なしってどういうこと?
史実では「疑惑」どまりの太宗の即位ですけど。ドラマでは本当に兄を殺し遺言を偽造して兄の息子から皇位を奪ったことになってるんですね。しかもそれを弟に言ってしまうとは・・・これは問題ですよ。
史実では太宗が兄を殺したかどうかはわかりませんが。遺言を偽造したのは間違いないでしょう。
太宗の疑惑についてはこちらで詳しく紹介しています。
金匱之盟:宋太宗 趙炅の疑惑の即位
第2話
劉娥(りゅうが)は麒児殺害の疑いで逮捕され。さらに太宗は重臣・潘伯正(はん・はくせい)の娘、潘玉姝(はん・ぎょくしゅ)との婚姻を命じました。劉娥を失って落ち込んでいる元侃はその婚姻に反発。
一方、劉娥は亡き夫の弟・蘇義簡(そ・ぎかん)に助けられました。すでに劉娥は死んだことになっています。蘇義簡は劉娥にすぐに都から逃げるようにといいます。
ところが劉娥は郭王妃の子を殺した女が秦王府に入っていくのを見ました。劉娥は蘇義簡の協力で秦王府に入り、香児と名乗って侍女になりました。
劉娥はさっそく秦王・趙廷美に気に入られました。秦王妃も側室になってはどうかと勧めます。
宮中で行われる先帝の十周忌の祭祀のため先帝の嫡男・趙徳昭がやってきました。ところが趙徳昭は何者かに殺されてしまいます。
感想と解説
刺した人が一番悪いのは確かですが。郭清漪の息子・麒児は劉娥が勝手に持ち出して街の中をウロウロするからよけいに危険にさらされたのでは?投獄されて当然だと思うけど。趙元侃は頭が悪いのかな?それとも趙元侃の子ではないのでしょうか?
跡継ぎ候補の第三皇子・趙元侃はあんまり賢そうにはみえませんね。確かに史実でも利口な皇子ではありませんけれど。
劉娥は庶民のハズだけど宮中のしきたりに馴染んでるし皇族相手にお茶を入れたりして褒められたり。どこかのお嬢さんでは?と思えます。礼儀作法をどこで身につけたんでしょうね。
第3話
襄王・趙元侃は従兄弟の趙徳昭(ちょう・とくしょう)と再会。ところが徳昭が急死してしまいます。
趙元侃は太宗が趙徳昭を殺したのではないかと疑いますが。犯人扱いされた太宗は激怒、趙元侃を投獄してしまいます。そして寇準(こう・じゅん)に調査を任せました。
ところが寇準は拉致されてしまいます。寇準は皇后から元侃を犯人にするように遠回しに言われます。その代わり寇準には出世が用意されるというのです。
寇準は太宗に元侃が犯人だと報告。太宗は元侃を庶人に落として流刑に決定しました。
元侃が犯人にされて追放されると知った劉娥は、徳昭殺しに秦王が関わっていると思い蘇義簡に協力を求めました。
秦王は謀反を決定。秦王妃も踊り子に扮した刺客を用意。皇宮で開かれる宴に送り込むことになりました。その踊り子に欠員が出たので劉娥が代わりに出ることになります。宴の当日。刺客が太宗を襲うと、劉娥と元侃が阻止して太宗を守りました。
元侃の降格は取り消しになり劉娥の無実も証明されるのでした。
感想と解説
ドラマでは秦王 趙廷美が本当に謀反を起こす展開に。これなら安心して?弟を処分できますね。というか皇帝暗殺するにしてもやり方がズサンすぎませんかね。
史実のように趙廷美の死で趙元佐が病んでしまう展開もなく。悪者・無能が脱落してまともな?趙元侃が残りました。というありがちな展開になりそう。せっかく興味深いエピソードのある人達がいるのにもったいない。
第4話
黄河が決壊。太宗は皇太子を決めるため3人の皇子を黄河の決壊現場に派遣しました。
劉娥(りゅうが)は自分がいれば迷惑がかかると思い、趙元侃(ちょう・げんかん)のもとをさりました。元侃は派遣のついでに劉娥も探すことにします。
意思の弱い楚王 趙元佐(ちょう・げんさ)はいまいち頼りになりません。
気性の荒い許王 趙元僖(ちょう・げんき)は救済金を横領した罪を官吏にかぶせて殺害。それに怒った民が暴動を起こしました。すると襄王 趙元侃(ちょう・げんかん)が自らの身体を傷つけ民をなだめました。
ようやく落ち着いたものの再び黄河が決壊。民たちは滑州城内に避難。趙元侃はなんとか被害を抑えようと補強工事を行いました。
この地方にいた劉娥も城内に避難しました。蘇義簡は避難民の中に劉娥がいることを発見します。
ところが地方の長官の汚職が発覚、許王は長官から賄賂をうけっていたことがわかります。
感想と解説
第3皇子もダメだけど他の皇子はもっとダメでした。
太宗も大変だ。
実際には第一皇子や第二皇子が無事ならそちらを跡継ぎに。と思えるくらいにはマトモだったので。ドラマの第一皇子や第二皇子は悪く描かれすぎですね。
ちなみに中国王朝は「治水王朝」といわれるくらい治水は大切。黄河のような大河がいくつもあるので氾濫がよく起こるんですね。被害を減らしたり治水工事ができるのもよい君主の条件です。
コメント