韓国ドラマ「王は愛する」は、高麗時代を舞台にした3人の男女の愛と友情を描いたドラマです。美しい映像、切ないラブストーリー、豪華キャスト陣による熱演が見どころです。
このドラマは元の支配下にあった高麗を舞台に、実在した人物である忠宣王(ワン・ウォン)の生涯をモチーフにしていますが、物語は史実とは大きく異なります。
ドラマでは歴史上の出来事を高麗国内に集約し、ワン・ウォン、親友リン、ヒロイン・サンの三角関係というフィクションの要素を加えています。
この記事では「王は愛する」に登場する人物のモデルになった歴史上の人物や、ドラマと史実との違いについて詳しく解説します。
ドラマをより深く楽しむための参考にしてくださいね。
ドラマ「王は愛する」の実話
元の支配下にあった高麗
「王が愛する」の舞台になったのは13世紀末の高麗王朝。当時の高麗はモンゴル帝国(元朝)の支配下になって間もないころでした。
1274年。忠烈王は元のクビライ・ハンの娘を娶り、元の属国としての高麗を統治しました。元からの干渉は政治、経済、文化など様々な分野にわたり、高麗は大きな影響を受けました。
モンゴルの影響は李氏朝鮮や現代にまで残っています。文化や食事(肉食・焼き肉)・言葉(ムスリ=モンゴル語の娘など)、服装(朝鮮時代の玉の連なった紐の付いた帽子)など様々な部分に影響をみることができます。
忠烈王は元の文化や制度を積極的に導入し、しかしその政策は高麗国内の保守派からの反発を招き政治は混乱しました。
また、この時代は元の日本侵攻(文永の役、弘安の役)で高麗が基地としての役割を担わされた時期でした。二度にわたる日本への出兵は高麗の国力を疲弊させ民衆の生活を苦しめました。
ドラマの舞台になった忠烈王の治世の末期
1298年には世子(後の忠宣王)との対立が激化し、忠烈王は一時退位しましたが、すぐに復位しました。その後も政争は続き、高麗は不安定な状況が続きました。
1308年、忠烈王は死去し、息子の忠宣王が王位を継ぎました。
ドラマ「王は愛する」はこの忠烈王の治世の末期を舞台にしています。
ワン・ウォン(忠宣王)の実話
歴史上のワン・ウォン(後の忠宣王)は高麗王朝の激動期を生きた人物です。
ドラマ「王は愛する」は、彼の生涯をモチーフにしていますが物語の展開は史実とは大きく違います。
歴史上のワン・ウォンの生涯
元への貢女:王瑛の娘(ドラマではワン・ダン)が元の貢女に選ばれた際、ワン・ウォンは母・元成公主に相談し、彼女を世子妃にすることで貢女になるのを阻止しました。
元での生活:高麗の王族は元で暮らすことが定められており、ワン・ウォンも元で生活しました。
プヨンの処刑:高麗ではプヨンが忠烈王の寵愛を独占していました。元成公主の死後、ワン・ウォンはプヨンを処刑。忠烈王はそれがショックで譲位します。
即位と退位:忠烈王の譲位によりワン・ウォンは忠宣王として即位しましたが、改革の抵抗に遭い退位。元に戻りました。
世子となり元で暮らす:忠宣王の退位後、再び忠烈王が王になりました。ワン・ウォンは世子として元で暮らしました。そのころ人質として元に来ていた王族のワン・ジョンと彼を支持するソン・バンヨンたちはジョンを高麗王にしようとして元朝の朝廷関係者に多数派工作を行いました。
最終的には元の皇子を味方にしたワン・ウォンが勝ちます。ワン・ジョンたちは粛清されましたす。
再び即位:忠烈王の死後。ふたたび忠宣王が王になりました。しかし高麗には戻らず元にいて命令を高麗に送っていました。高麗の臣下は忠宣王の帰国を望みましたが拒否しました。
譲位:高麗王の座を息子の忠粛王に継がせ。忠粛王は高麗に帰国。自信は元で暮らしました。
ひとつひとつの事件はドラマにも生かされていますが、全体の流れはかなり違ってます。
ドラマはこれらの事件をひとつにまとめて舞台を高麗に固定。そしてワン・ウォンを親友・ヒロインの繰り広げる三角関係を追加しました。
おかげで地味な政治劇になりそうな事件がテンポの速いドラマになりました。
史実のワン・ウォンは辮髪・モンゴル服を着ていた!
高麗の王子は元で暮らす時は辮髪でモンゴルの服を着ていました。ワン・ウォンも歴史上は辮髪でモンゴル服を着ていました。
モンゴルの辮髪は満洲人(清朝)とは違い側頭部の髪も残しています。
この姿で高麗に帰ったとき、臣下たちは辮髪・モンゴル服の王子を見て泣いたといいます。
でも彼は元の暮らしが気に入っていたので高麗にはあまり戻っていません。
高麗の人々の実話
忠烈王
演:チョン・ボソク
ウォンの父、高麗第25代王。
ドラマではやや自暴自棄気味ですが。歴史上は元に服従を誓い、クビライに媚びて生きる道を選んだ高麗王。実子のウォンを疎んでジョンを次の王にしようとしたこともあります。
元成公主/荘穆王后
演:チャン・ヨンナム
ウォンの母、王妃、元国皇帝クビライの娘。
王妃としての称号は荘穆王后。ドラマでも史実でも元の力を後ろ盾に高麗でも威張っていました。むしろドラマの方がおとなしいくらい。実際にはもっと威張っていたとか。
フラタイ
演:キム・ジェウン
元成公主の護衛。ひたすら元成公主の手足となって働くモンゴルの武人。史実ではただの護衛ではなく力のある政治家。高麗にいる時はかなりの権力を持っていた人です。
ソン・イン
演:オ・ミンソク
モンゴルの血をひくウォンを排除しようと画策する策士。魅力的なキャラクターですが架空の人物です。
ソン・パンヨン
演:チェ・ジョンファン
ソン・インの従兄、密直副使。一見すると便りなさそうな重臣。歴史上はワン・ジョンを担いだ派閥の中心的メンバーでした。
ムビ(オク・プヨン)
演:チュ・スヒョン
ドラマではソン・インの部下。
史実では忠烈王の側室。王を魅了していましたが。ワン・ウォンは母が死んだのはムビのせいだと激怒。ワン・ウォンによって殺害されてしまいます。
ワン・ヨン
演:キム・ホジン
高麗王族。リンの父。王家に最も近い血筋。そのため王位争いに巻き込まれるのを恐れていますが。
ワン・ダン
演:パク・ファニ
リンの妹。貢女にされそうになりますがウォンに救われます。歴史上の靜妃王氏。
ワン・ジョン
演:ユン・ジョンフン
リンの兄。自尊心が強く。半分モンゴル人の血を受け継ぐウォンよりも純粋な高麗人の自分が王にふさわしいと考えています。
歴史上も王位を狙ってウォンと争いました。ただし、ワン・ジョンも人質になって元で暮らしていたので、後継者闘いの舞台は元の宮廷です。
「王は愛する」ドラマの見どころ
あらすじ
高麗の王子ウォンは、美しい容姿と知性にあふれる青年。しかし、母親が元の皇帝の娘であったため、父王から疎まれ、孤独な日々を送っています。ウォンには、家族よりも心を許せる存在である親友リンがいます。
ある日、ウォンとリンは、高麗一の商人の娘サンと出会います。3人は友情を育んでいきますが、ウォンはサンに恋心を抱き、リンもまたサンに密かに想いを寄せます。永遠に続くと信じていた2人の友情は、サンによって崩れ始めます。
「王は愛する」ドラマの特徴
「王は愛する」は、高麗時代を舞台にした、3人の男女の愛と友情を描いたドラマです。視聴者を魅了する主な特徴は以下の通りです。
美しい映像
高麗時代の美しい風景や豪華な衣装がまるで絵画のように描かれています。色彩豊かで細部までこだわり抜かれた映像は視聴者をドラマの世界へ引き込みます。特に高麗の宮廷や街並みの再現は圧巻で歴史的な雰囲気を楽しめます。
切なくも美しいラブストーリー
3人の男女が織りなす切ないラブストーリーに心が揺さぶられます。
主人公ウォン、親友リン、そしてヒロインのサン。それぞれのキャラクターが抱える葛藤や感情が丁寧に描かれているので共感しやすいですね。
友情、愛情、そして裏切り。複雑に絡み合う人間関係は最後まで目が離せません。
豪華キャスト陣による熱演
イム・シワン、ユナ(少女時代)、ホン・ジョンヒョンなど、人気俳優たちが集結!。熱演を繰り広げています。
それぞれのキャラクターを見事に演じきりドラマに深みを与えています。特に、イム・シワンの繊細な演技は必見ですね。
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